漸化式の基本パターンと解き方

漸化式の基本パターン

大学受験数学では、漸化式を解くために覚えておくべき基本パターンが4つあります。
複雑な形の漸化式も、必ずこの4パターンのいずれかにたどり着くので、この形になれば解けると気づけることが重要です。

覚えるべき基本パターンは次の4つです:

  1. 等差数列型(\(a_{n+1} = a_n + d\))
  2. 等比数列型(\(a_{n+1} = r a_n\))
  3. 階差数列型(\(a_{n+1} = a_n + f(n)\))
  4. 特性方程式型(\(a_{n+1} = p a_n + q\))

等差数列型(\(a_{n+1} = a_n + d\))

以下のような漸化式を本記事では等差数列型と呼びます。
\[
a_{n+1} = a_n + d
\]

解き方

等差数列の一般項の公式に当てはめて解きます。
等差数列の一般項は、初項を\(a_1\)、公差を\(d\)とすると、次のように表せます。

\[
a_n = a_1 + (n-1)d
\]

例題

以下の漸化式を解いてみます。

\[
a_{1} = 2 \space, \space a_{n+1} = a_n + 3
\]

これは、初項2、項差3の等差数列なので、等差数列の公式に当てはめましょう。
すると、一般項は次のようになります。

\[
a_n = 2 + (n-1) \cdot 3 = 3n – 1
\]

等比数列型(\(a_{n+1} = ra_n\))

以下のような漸化式を本記事では等比数列型と呼びます。
\[
a_{n+1} = ra_n
\]

解き方

等比数列の一般項の公式に当てはめて解きます。
等比数列の一般項は、初項を\(a_1\)、公比を\(r\)とすると、次のように表せます。

\[
a_n = a_1 \cdot r^{n-1}
\]

例題

以下の漸化式を解いてみます。

\[
a_{1} = 5 \space, \space a_{n+1} = 2a_n
\]

初項が5、公比が2の等比数列なので、等比数列の公式に当てはめましょう。
すると、一般項は次のようになります。

\[
a_n = 5 \cdot 2^{n-1}
\]

階差数列型(\(a_{n+1} = a_n + f(n)\))

以下のような漸化式を本記事では階差数列型と呼びます。
\[
a_{n+1} = a_n + f(n)
\]
この形だと少しわかりにくいですが、等差数列型の定数項に\(n\)を含む形の漸化式だと思っていただけるとよいと思います。
(例)\(a_{n+1} = a_n + 2n^2\)

解き方

階差数列型は、公式に直接当てはめることができません。しかし、\(a_{n+1}\)と\(a_{n}\)の差の数列はわかるので、\(b_n = a_{n+1} – a_n = f(n)\)として、\(b_n\)の総和を求めることで解を得ます。

イメージは下の図です。\(a_{n}\)を直接求めることはできないので、階差数列\(b_{n}\)を経由することで\(a_{n}\)を求めます。


\[
b_{n} = a_{n+1} – a_{n}
\]
なので
\[
a_{n+1} =a_{n} + b_{n}
\]
と言えます。
これを\(n=1\) から当てはめてみると
\[
\begin{aligned}
a_{2} &=a_{1} + b_{1}\\
a_{3} &=a_{2} + b_{2}\\
&=a_{1} + b_{1} + b_{2}\\
&︙\\
a_{n} &=a_{n-1} + b_{n-1}\\
&=a_{1} + b_{1}+ b_{2}+・・・+b_{n-1}\\
\end{aligned}
\]
すなわち、以下の式で求めることができます。
\[
a_{n} =a_{1} + \sum_{k=1}^{n-1} b_k
\]

例題

以下の漸化式を解いてみます。

\[
a_{1} = 5\space, \space a_{n+1} = a_n + 3n
\]

この場合、階差数列\(b_n = 3n\)です。このときの一般項は、

\[
\begin{aligned}
a_{n} &=a_{1} + \sum_{k=1}^{n-1} b_k\\
&=5+3 \cdot \frac{n(n+1)}{2}\\
&=\frac{3}{2}n(n+1) + 5
\end{aligned}
\]

と求めることができます。

特性方程式型(\(a_{n+1} = pa_n + q\))

以下のような漸化式を本記事では階差数列型と呼びます。
\[
a_{n+1} = pa_n + q
\]
等差数列型と等比数列型の合体とでもいうべきでしょうか。

解き方

特性方程式(\(x = px + q\))の解を用いて等比数列型に移行します。

漸化式の係数\(p, q\)はそのまま、\(a_n,a_{n+1}\)を\(x\)に変えてできる特性方程式\(x = px + q\)を解きます。
その解を\(\alpha\)とすると、元の漸化式は以下のように式変形できます。

\[
a_{n+1}-\alpha = p(a_n -\alpha)
\]
(なぜこのように式変形できるかはあまり重要ではないので理解できなくても問題ないです。いずれコラムなどで書けるといいですね)

すると、\(a_n -\alpha\)を\(b_n\)とでも置くと、等比数列型に移行できます。
\(b_n=a_n -\alpha\)とすると \(b_{n+1}=a_{n+1} -\alpha\)なので
\[
b_{n+1} = p \cdot b_n
\]
ここからは等比数列型と流れは同じですね。

例題

以下の問題を解いてみます。
\[
a_1 = 1\space , \space a_{n+1} = 2a_n + 3
\]

まず、特性方程式の解を求めます。
\[
\begin{aligned}
x &= 2x+3\\
x&=-3
\end{aligned}
\]

この解を当てはめることで元の漸化式を変形しましょう。
(解が-3なのでプラスマイナスひっくり返って+3になりますね)
\[
a_{n+1} + 3= 2(a_n + 3)
\]
\(b_n = a_n + 3\)とすると、

\[
b_{n+1} = 2b_n
\]
ここからは等差数列型なので初項と公比があればわかればよいですね。
項比は式を見ると2であることがわかります。
初項\(b_1\)は\(a_1\)から求められます。
\(a_1=1\)なので\(b_1=a_1+3 =4\)となり、初項も4とわかりました。

等比数列の公式に初項4、公比2をあてはめて
\[
\begin{aligned}
b_n &= 4 \cdot 2^{n-1}\\
&= 2^{n+1}
\end{aligned}
\]
ここで終わりではありませんね。求めたいのはあくまでも\(a_n\)です。
\[
\begin{aligned}
a_n &= b_n-3\\
&=2 \cdot 2^{n+1} – 3
\end{aligned}
\]
として\(a_n\)が求まりました。

まとめ

漸化式の基本パターンの解説を行いました。複雑な形の漸化式でも、最終的にはこれら4パターンのいずれかに落ち着きます。なので、この4パターンになればこの問題もらったと確信できるほどに、理解しておくことが重要です。

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